Alice in the sky 〜心の病と創作とたわいのない話〜

今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。申請で診断してもらったら否定型精神病とかかれてました。よく変わる。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。スマホで書く日が増えるかも。
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冴子の心の叫びを知ってか知らずかラシーアはいつまでも引っ張っていく。

「自分で歩けるわよ」

冴子の精一杯の抵抗である。

そうですか、とあっさりラシーアは冴子を解放する。

深いため息をついて家路を急ぐ。合宿生活はいやだが素の諸星先輩が見れる。

現金なものである。

玄関を開けてそっと入ろうとしたら康平が後ろから大声を出す。

「おばさん。サッカー部のマネージャーに冴子借ります!!」

「ちょっと後ろで大声出さないでよ」

振り向いて冴子は抗議するが康平もラシーアも気にしていない。いつの間にかマネージャーに仕立てられていた。これには康平も納得しているらしい。

冴子だけが蚊帳の外に放り出されていた。

「わかったわよ。用意すればいいのね」

 いらだちを含んだ声で答えると冴子は自室に向かった。康平もついていこうとしたが冴子はハウス、と言ってとどめるとラシーアをつれて二階へあがっていった。ちぇっと小さく靴箱にあたって康平も荷物をまとめるために隣家に戻った。

「ほんとに行くの?」

かわいらしいリュックに荷物を詰めながら手際よくまとめているラシーアに冴子は尋ねる。

「もちろんです。ルーの脅威はこの世界にまで及んでいます。ファーストが目覚めたと知られたらあちこちで戦うことになるでしょう。向こうの世界とこちらの世界は鏡合わせ。どちらかが滅んでも駄目なのです。あちらの世界の事情に巻き込まれたことは残念ですが」

すらすらと答えるラシーアに冴子は切り出す。

「クリューネって誰?」

 すっすと動いていたラシーアの手が止まる。

「それはエンデルク様にお聞きになっては」

「答えないよ」

鋭い指摘にラシーアはタジタジになる。

「あれほどラシッドさんに叱責してたんだから口外できないんでしょ」

「ひとつだけ。クリューネ様はエンデルク様の乳兄弟で婚約者でした」

「でした?」

「これ以上お話しすることはありません。さぁ。荷物がまとまりました。行きましょう」

有無を言わせないラシーアに突っ込みたい口を押えて冴子は荷物を持った。

「おーい。冴子。用意できたかー?!」

階下の玄関から康平の声がやってくる。

「今いくから!」

康平だとぞんざいになる冴子である。加えてラシーアにも何か本音で話せる気がしている。小町は論外だが。得難い友を得た気になっていた。ラシーアはいつも静かで落ち着いてるからだろうか・・・、と冴子は思う。

 

そして諸星のこちらの世界での家である。

ほけっと口をあんぐりあけて康平と冴子は突っ立っていた。

豪邸である。人が何人泊まれるのかというほどの。確かにここで合宿は可能だ。

その口をラシッドが閉じようとさせたのをいち早く気づいたおもてなし女子ラシーアが代役を務めた。ラシッドはすねたがラシーアは気にしない。康平は向こうの世界での上位色をまとっているが故貴人であるがラシッドが惚れたのはそれだけではないようである。常に一挙手一投足を狙っている。油断もすきもありゃしないんだからという憤慨は冴子の思考である。自分でもエンデルクなのか康平なのか境界線があやふやになってきている。ゆゆしきことだと冴子が思っていると一同は豪邸に飲み込まれていくかのごとく入っていく。あわてて荷物を引きずりながら冴子も続いた。

「よく来てくれた諸君。今後ルーの手から世界を救うために尽力してくれ。私も協力はおしまない。しばし家族と離れるがいつでも帰えれる距離だ。いつでも帰ってくれていい。荷物も限らてるからな。とりあえず夕食にしよう。基本自炊だ。今日はラシーアが腕を振るってくれるのだったな。よろしく頼む」

ラーの世界のごとく王子口調だ。冴子も先ほどの低いテンションからハイテンションである。目はハートマーク。そんな冴子を見てさりげなく視界からエンデルクを隠すように動く康平である。駆け引きがすでに始まっていた。

 

眠い目をこすりながら冴子たちは高校へ向かっていた。集団になるとなぜだろうか修学旅行のようにまくらなげやら女子会やらはじまって遅くに寝たのはいいが起きるのも早朝。なんせ急ごしらえのマネージャーなのだ。冴子はじめ。ラシーアが母親のごとくたたき起こすと用意も何もかもしてあり、食べるだけ食べてふらふら登校したのだった。元からいたマネージャたちには不審がられたがそこは天下のラシーア。そつなくこなして丸く収める。この丸一日でラシーアの偉大さに拝みそうになる冴子であった。

教室へふらふらと向かってボーっと座っていると教師とともにラシーアが入ってきた。

冴子は一度で目が覚めた。

何を言い出すか心臓がバクバクいう。そつのないラシーアのことだからそれとなく普通に入ってくれるが万が一のことがあれば冴子の安定した生活はもろくも崩れ去る。すでに崩れているがこれ以上崩れてなるものかと緊張の冴子と康平である。

「海外から戻ってきたラシーア・ラーです。よろしくお願いします」

「じゃ、中津のとなりに」

教師が冴子の隣を指し示すとしずしずとラシーアは席に座った。巫女の血がそうさせるのかすっと教室になじんだ。

休憩時間、冴子は康平とラシーアの机を囲んだ。

「どうしてよりによってこの教室なのよ」

「諸星の手先か?」

悪魔のように扱う冴子と康平にラシーアは少し眉をひそめる。

「私たちがバラバラではいざというときに対応できません。小町さんはもう少し年が低いのでこちらには来れませんが、それが最善の策かと」

とそのとき高校の向こう側でどーんと音が突き抜けた。

ばっと冴子たちはドアに向かう。

向こう側から炎の柱が立っている。

「小町さんの暴走ですわ」

のほほんとラシーアは答える。高校の建物の向こうは中学校の建物である。冴子と康平は幼稚園の時からこの学園にいる。一応頭はよい。少数外部から入る学生もいるが。

幼い小町はラシッドが面倒を見ているはずだったのだが・・・。

「王子――――――!!」

小町の叫び声が聞こえてくる。

三年生の教室へ向かっているようである。ラシーアが走り出す。冴子と康平も同時に向かう。

三年生の諸星の教室では小町がぼろぼろ泣いていた。

「みんなでよってたかって小町に触るの。小町王子以外触られるのやー」

 きっと握手とかちょっとしたコミュニケーションだったのだろうが小町にはカルチャーショックだったようだ。冴子がぽんと肩をたたこうとしたのを諸星が止める。

「ここでもう一本炎の柱はやめてくれ」

その言葉に反射的に冴子は手を引っ込める。小町は幼い分感情の起伏が激しいのだろう。人なれしていないようでもあるから。なんとなく人を避けてきた冴子には共感すべきところがあった。いくら埋没した個性であろうと本人がその気でなければここまで埋没すまい。

しかし合宿翌日からは頭の痛い状態である。どうしたものかと冴子は小町を見て考え込んだ。

 

 

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