Alice in the sky 〜心の病と創作とたわいのない話〜

今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。申請で診断してもらったら否定型精神病とかかれてました。よく変わる。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。スマホで書く日が増えるかも。
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

第十三アカネマンション事件〜扉をあけて・北の国へ〜 Parts6-5 lastparts

 

 

「では。ネリューラ様、時の声を」

「わかってる」

 これが最終決戦。手をまっすぐ伸ばし指先に力こめて。

「みんな、行くわよ。・・・GO!」

 声の限り叫んだ。もう終わりにするという気持ちも込めて。そのまま城に突っ込む。

「わぁ。ネリューラだ!」

「おのれ。ネリューラめ」

 一斉に攻撃してくる。ふん。この程度のちからなんてちょろいちょろい。

 ふと見ると太一郎さんとあゆみちゃんがばきぼき言わせてた。さすが。奥の方に雑魚のリーダーらしき人物がいる。

「圭一郎。飛ぶわよ」

「OK!」

 圭一郎はそのたくましいライオン姿でジャンプしていく。その人は剣をあたしに向けて投げてきた。

 相変わらず、この瞬間はいやなもんね。ぐさっと剣がが胸に突き刺さる。リーダーさん、やったって顔をする。でもあたし、この世界では不死身なんだよね。剣を抜く。

「ネコちゃん。大丈夫?」

 圭一郎が心配するけどにっこり笑う。

「平気、平気」

「そんな・・・。バカな・・・」

「そんなバカな・・・!」

「残念でした。あたしは不死身よ」

 そう言いながら彼に剣をさす。ぐさ。う。血が胸から滴り落ちる。見ていたくなくて剣をすぐに抜く。リーダーさんがずるずると崩れおちる。圭一郎から降りてできるだけみな様にしてむちゃくちゃに剣を振り回す。

「なにやってんだよ」

「あ。杳ちゃん。見たらわかるじゃない。戦ってんのよ」

「お宅。よくそれで人切れるな」

「いいじゃない。今、あたしはやけくそになってんの」

「ちょっとはラディンたちを見習えよな」

「ふん。杳ちゃんがえらそーなこといって」

 そう言いながらもみんな必死に切っていた。あたしだけ人一人刺してやけ起こしていた。

 みんなはしたくないこともしかたなくやっていた。少し悲しくなる。逃げているのはあたしだけだ。

“おーい。ネコ。全部終わったよ”

突然、頭に真弓君の声がひびく。

「え? もう終わったの?」

 あたりを見回すと敵さんは全滅していた。さすがに杳も驚いている。

「見事な死体の山だな」

「あー。もう戦うのヤダ。帰りたい」

「ここまで来てそれはないだろうーが。お宅、総大将なんだからな」

「はぁーい。わかりましたよ」

「ネリューラ様、ここでやけを起こしている場合ではありません」

 ラディンが釘をさす。

「しかたないわね。じゃ、城内に突撃するわよ。Ready GO!」

 そしてあたしたちは城内につっこんだ。

 

「お? ご丁寧なお出迎えだぜ」

 いち早く太一郎さんが敵を見つけて言う。

「先に九人出てきちゃったからあたしも手伝うわ」

「サンクス。それでは・・・」

 九人のうち三人をあゆみちゃんとあたしとの二人で操る。

「おい! お前なにやってるんだよ」

「うわ」

 三人の魔導士たちはまるで体がもぬけの殻になったような眼で他の魔導士を操る。そこに意志はない。そこへ切り込み隊長。まずは杳がテレポートで入っていく。

「じゃじゃーん。杳さん登場!」

 一気に急所を狙っていく。杳いつの間にそんなに切れるようになったのだろうか。誰を守るための剣なんだろうか。あたしのため? みんなのため? 一人棒立ちになっているのにほかのみんなも続いていく。

「こっちも負けてられんな」

 と太一郎さんがいうとあゆみちゃんまで左手を振り回していく。約一名東嬢だけが叫んでいた。同類ね。

「ふう。やっと片付いたな」

「案外あっけないのですね」

 と東嬢。

「よっく言うわよ。ただ叫んでただけじゃないの」

 と砂姫。

「東さんの悪口はいうな!」

 惚れた弱みの真弓君が叫ぶ。

「おーこわ」

 と杳肩をすくめる。

「ちょっと敵の総大将とあの魔術師は何処?」

「そーいや見かけないな」

「あの扉の向こうにいるの?」

 さぁ、と気の抜ける声で杳が言う。

「さぁって。何のためにこれだけ人を殺してきたのよ」

「生き残るためっしょ」

「っしょって・・・。聞いたあたしがバカだった。行くわよ」

 あたし,杳の慰めを感じつつも軽いノリに怒りを覚えてずんずん扉の前に進んでいく。

「ネリューラ殿危ない!」

 ディミダが体当たりしたかと思うと矢がすっ飛んで行った。

「いきなり動くのはそう急だ。ネリューラ殿」

「だって・・・」

「泣くのは後にしたほうがいい。あの魔術師のお出ました」

「え?あと一人じゃないの?」

 割と背の低い魔術師がずらっと円をなしていた。

「きゃ。太一郎さん!」

 太一郎さんがあゆみちゃんののど元に剣をつきつけていた。

「太一郎さん。操られたのね。いいわ。太一郎さんに殺されるなら本望よ」

 あゆみちゃんの真剣な声に太一郎さんの手が震える。

「その調子であゆみちゃん。感情同調して! あたしは本体へ向かう。ラディン。あとよろしく。ディミダ行こう!」

 あたしは腹を決めるとディミダと一緒に魔術師の元へと向かった。目が緑色に光る。明らかなる殺意をあたしは今持っていた。持ってはいけない感情を。

「ね・・・ネリューラ」

「やっと会えたわね。北の国の魔術師さん」

 カチンと剣の切っ先を抵抗すらしない魔術師ののど元へあてる。

「さぁ。総大将さんはどこ?」

「隣の奥です」

 意外にも男は弱弱しい声をだした。

「あなた魔術師ではないの?」

「いかにも。私が魔術師ですがすべてはアルタイルのしたこと。私のせいではありません。クリス様は奥の部屋におられます。クリス様こそこの国の王。すべてを統べるかた」

「じゃ。あなたには用はないわ。だけどあなたの命だけはアルタイルに捧げるわ」

 ぐさっと心臓を一突きする。これだけ戦ってれば急所の一つや二つわかる。魔術師は倒れてこと切れていた。

「ディミダ。あとでみんな埋葬しよう」

「わかってる。ネリューラ殿らしい思考はすでに把握している」

「ありがと。ディミダ」

 あたしは血のしたたる剣を衣で拭うとその奥に続いている部屋に向かった。

 

さらに奥に進む扉を開くとそこには金髪の男の子がいた。

「あなたが・・・この国の王様?」

 意表を突かれて思わず脱力する。剣がかたんと落ちて床の音が響いた。ディミダがご丁寧にも持たせてくれる。

「あなたが中の国を狙ったの?」

「中の国ってどこですか?」

 ずるっ。またもやずっこけそうになる。

「冗談はやめて。あなたがアルタイルにアルフレア城を襲わせたんでしょ」

「僕。何もしてません。すべてはイースに任せてます」

「それでは。あの先ほど死んだあの魔導士がすべてを操っていたのか?」

「死んだ? イースが? うそだ!」

 男の子は扉を開けていこうとしたけどディミダに阻まれた。

「見ないほうがいい。埋葬は我々ですませるから」

 それを聞いた男の子はわっと泣き出した。あたしはそっと肩を抱く。ぽんぽんと背中を叩いて慰める。

「ごめんね。中の国を大勢殺した真珠氏だけは許せなかった。あなたは私を許さないで殺す?」

「僕は・・・人殺しは嫌いです」

「でも実際に中の国を襲って城を奪っていろいろ操っていたのよ。それはあなたの責任でもあるわ。任せっきりだったのね」

「イースは両親の代わりでした。赤ちゃんの頃に両親は死んだと聞かされています。それ以来ここでずっと生活しています。外の世界も知りません。イースが悪い世界だからあなたは見てはだめだと言っていたので」

「そなたは世界を知る権利と義務がある。東の国に来ぬか? そこで学べばよい。イースのほかにこの国と城を任せられる人物はいるか?」

「わかりません」

 力のない言葉にディミダも肩を叩く。

「そなたには多くの時間が必要だ。まずは埋葬から始めよう。祈りを捧げこの国の王であることを宣言しなければならない。その後人選を手伝おう」

「ってディミダそこまでしちゃっていいの?」

「妾はこの子に未来を見た。新しい未来を。この子ならネリューラ殿のような世界を築けるかもしれない。誰も戦いで死なない世界を・・・」

「間違っても結婚しないでね」

 ロリコンかと思ってした発言だったけどディミダはまさか、という表情をした。

「妾にも好みがあるのを忘れないでほしい」

「え。僕、好みじゃないんですか」

「そーいう問題じゃない―」

「こらこらネコ。子供と親友相手に暴れるな」

 ひょいっと杳が登場した。あ、と子供がいう。

「僕それできます。物を壁にぶつけることも」

「なーんだ。君も魔男だったんだ。名前は?」

「クリスです。動物さん」

「圭一郎って呼んでよ。僕にはテレポーテーションできないけどライオンにはなれるよ。ライオン男だから」

「ライオン?」

「そう僕たちの世界の百獣の王さ」

「すごいなー」

 圭一郎とクリスはあっという間ん打ち解けた。素直な子供なんだろう。不思議と怒りはわかなかった。何も知らなかったんだから。これから知っていけばいい。その時自分の罪の大きさにつぶされなかったらいいけど。あたしたちはもう帰還すべきなのだ。すべてはおわった。あとはラディンたちの出番なのだ。

「クリス君。しばらくここに逗留させて。そのご西の国のシャワ城に向かうわ」

「シャワ城?」

「そう。あたしたちの世界とつながってる帰還の扉があるの。ここの世界はここの世界人たちですべてをしていかなければならないの。ネリューラ伝説はもうこれで終わり」

 そう。血で血を争う世界から戻るのだ。再び。もう来ることはないだろう。もう。そう予感していた。もう一度ディミダたちと思い出が欲しくて逗留させてもらおうと思っていた。今生の別れなのだ。涙っぽくなりそうな自分を鼓舞するかのように頭を一振りする。

「ネリューラ様?」

 いつの間にか来ていたラディンたちがあたしのことを見つめていた。

「しばらく逗留後、シャワ城へ向かうわよ」

「りょーかい。な。ネコ。この平和な時間のうちに俺に口説かれない?」

 杳がまた口説いてくるというか了解を得てくる。

「ノン。なしよ。あたしは練馬区の花の女子大生なんだから。いい男はそこらに転がってるわ」

 ちぇ、杳が拗ねて周りは笑いに包まれた。

 

 

 逗留後あたし達向こうの世界の人間たちはシャワ城の帰還の扉の前にいた。ディミダとクリスもいる。クリスはまず人選をディミダたちとしてから東の国に向かうことになっていた。

「じゃ。また」

 さよなら、とは言わなかった。世界が違ってもつながってる。みんなの心は。本当の別れじゃない。また三拍子揃ったら来るんだから。それもあるかどうかはわからないけど。それはこの世界の誰かが決めてるんだろう。それにあらがう気はなかった。あたしはこの世界が大好きだったから。かといって向こうの元の世界も好きだった。いいとこどりなのだ要は。贅沢なネリューラこと根岸美弥子なのだ。

「じゃね」

 軽くこの世界の住人たちとハイタッチしてから扉を開ける。

 そう。また未来への扉が開いた。

 

Fin

第13あかねマンション事件 | comments(0) | -