Alice in the sky 〜心の病と創作とたわいのない話〜

今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。申請で診断してもらったら否定型精神病とかかれてました。よく変わる。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。スマホで書く日が増えるかも。
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習作・世界はあなた中心に回ってる。 プロローグ 闇と光の邂逅

 

 

すらりと背の高い青年が角を曲がった。とたん、柔らかい物体と出会いがしらにぶつかった。無視して通り過ぎようとしたところ抱きつかれた。驚愕で声がでない。

「ご主人様!!」

はぁ?

この世界で仕えていた人間がいるとは思えない。前世なら別だが。

「忘れたんですか? せつな様の飼い犬ルリです。やっと会えた!!」

 せつなの胸元で少女が泣きじゃくる。だが、人間と犬の転生はありえない。

「失礼だが、俺は前世で犬を飼ってないし人間は人間しか生まれ変わらない。他をあたるんだな」

べりっと引きはがしたがこぼれる真珠のような涙の粒になにもいえなくなる。だが、確かなのだ。

母キアラは人間の死亡を天使が管理していたのを人間だけで行えるようにした。自然に生まれ、死に、また生まれ変わるようにと。人間は人間に。動物は動物にと。天国と呼ばれるその場所でその機能は動いている。せつなは具現の天使キアラの息子として生を受けた。が、キアラは何を思ったか十六歳になったせつなを人間界に放り込んだ。以来孤独な生活でさまよって旅を続けている。

 

ここは近未来。五百年後の妖魔の襲撃から同じほどたった未来。人々はAIに翻弄されていた。キアラはその世界を嘆いていたが人間界に介入することはなかった。同時に空の大天使ハルミが何とかしようとしていたがすべてうまくいっていなかった。新米の大天使なのだから無理もない。うまくいったのはせつなを人間界へ落とすことだけだった。何も知らない純真なせつなは仮の家族を得て名前、春川せつなをもらったがすぐに家族を亡くした。裏でキアラが糸をひいているのではと勘繰ったが追及はできなかった。孤児となったせつなは騙されたり危険な目にあいながらようやくここにたどり着いた。今まで散々な扱いを受けて今更人を信じるつもりは毛頭なかった。

「ご主人様行かないで」

ぽろぽろとなくルリになんとなくもどかしさを覚えてどうしたらいいのかわからない。透明な涙はせつなの何かを動かした。

「ああ。いいからもう泣くな。ご主人様というならついてこい。お前が仕えていたか確かめてやる」

「ご主人様!!」

泣いたカラスがもう泣き止んだかと思うとにっぱとルリは笑う。凍っていた心にしみわたる。

ああ。俺はバカ者だ。こんなに簡単に人を信じて。また裏切られるだけなのに。大ばか者だよ。

心中で自分を罵倒しながらルリの手を握る。

「ご主人様?」

ルリが首をかしげる。

「腹が減った。どっか飲食店へ案内しろ」

「はい。ご主人様!」

ルリが飛び出そうとして腕がぴんと伸びた。手をつないでいたのをルリが忘れたためだ。

「いてーな。迷子になるからこのままで案内しろ」

我ながら甘えたことを言うと思いつつもルリにはなぜか素直になれた。犬のはずもないののに、だ。

 

これからどんな道中がまっているのだろうか。

ずっと暗闇だったせつなの心に太陽の光が差し込んだような邂逅であった。

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