Alice in the sky 〜心の病と創作とたわいのない話〜

今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。申請で診断してもらったら否定型精神病とかかれてました。よく変わる。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。スマホで書く日が増えるかも。
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特別編 ショートショート好きより〜

 

世界で一個だけの義理チョコ

 

今日はバレンタインデーだ。青磁は意気消沈していた。また義理チョコを母からもらうぐらいだろう。

周りはカップルでいっぱいで彼女からもらっている奴は腐るほどいるのに。

「せーいじ」

放課後青磁は幼馴染の菜実に声かけられた。

「お前はやく部活行けよ」

ぶっきらぼうに言うと菜実はにやりと笑う。

「おや? 青磁君そんなこと言っていいのかね?」

「いったいなんだよ」

「今日は何の日?」

逆に菜実に問い返される。

「世界滅亡の日」

いいかげんな言葉を返す。

「もう。もうちょっとは真剣に答えてよ」

「だからなんなんだよ。俺は早く帰りたいんだよ」

いらだって声を荒げる。

「これ、いらない?」

四角い簡素な茶色の包装をしたものを菜実は見せた。

「おい。それ?」

「毎年お母さんの義理チョコなんだって?」

ああ、としか青磁は答えられない。のどにたまった唾をごくりと飲み込む。まさかこれは俗にいう本命チョコ?

いやまさか幼馴染が自分に恋愛感情を持っているとは信じがたい。

「いらないなら。自分で食べるけど」

菜実はくるりときびすを帰すと廊下を歩きだす。

「おい」

足早にさろうとする菜実の後を青磁も足早に追いかける。

「いらないとはいってないだろ?」

「あ。そう?」

くるりと菜実が前を向く。青磁は急に立ち止まられてつんのめりそうになる。

「じゃあげる。世界に一個だけの義理チョコ」

「義理チョコ?」

「そう。義理チョコあげるの悩んだけどね。毎年かわいそうだから買ってきたのよ」

という菜実の手にはばんそうこが貼ってあった。

「やけどしたのか?」

その問いに菜実は答えず手を後ろに回した。

「そーですよ。手作りの義理チョコですよー。だってあげるの青磁しかいないもん」

嘘つけ嘘を。と青磁は突っ込みそうになった。菜実が何人かの男子に告白されたのは知っている。てっきりそいつらにやったと思っていた、それが手作りの義理チョコ。それも世界に一個だけ。

顔がにやついてくる。

「あーもう。そういう顔にすぐ出るから彼女できないのよ。草食系男子なんだからそれなりにいい人になりなさいよ。そしたら選び放題なのに」

「本命なんだろ?」

にやつくほほを手で固めてから問い直す。

「そんなこときく人はもらう権利ないですー」

菜実はあっという間に青磁からチョコレートを奪うと走り出した。

「おい待てよ」

菜実は陸上部だ。青磁は帰宅部。足は菜実のほうがはやい。

「そんなにほしけりゃ、あげるわよ」

ふっと菜実は振り返るとチョコを投げた。

「おっと」

落としそうになりながらチョコを受け取る。その拍子にこける。

菜実の笑い声が聞こえる。

「だっさー。だからいつもだめ青磁なのよ」

けらけら菜実は笑う。

「飽きないわー。青磁は」

「俺はおもちゃか」

「うん」

即答されては返事もでない。

立ち上がるとほこりがついていた。菜実の手が簡単にほこりをはらいのける。

「もうちょっとしっかりしなさいよ。へたれ青磁」

菜実はそれだけいうと今度は本当に走り去ってしまった。

「世界に一個だけの義理チョコか」

まぁいい響きだからもっらっておこう。あ。ホワイトデー何返せばいんだろう。

そんなことをつらつら思いながら青磁はまだカバンが残されている教室に戻った。

 

何かが変わったバレンタインデー。これからどうなるかは彼らしだい。

 

チョコレートは何をもたらすのだろう。

世界で一個の義理チョコ。あなたのためだけに・・・。

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