Alice in the sky 〜躁鬱と創作と時々朱印〜

日月水でやってきましたがなかなか更新できず今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。長年統合失調症と思ってましたが今日躁鬱病と訂正入りました。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。
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# 春を運ぶカード

 

 

 

受験シーズンまっただなか彰子は本を読んでいた。

まわりの付属高校の生徒たちは必死に勉強しているが彰子はすでに終わって今度大学二回生に上がるところだったので無用の産物だった。

そこへ小さなだがしっかりとした声で青年が声をかけてきた。

「となりいい?」

「どうぞ」

簡単に答えて彰子はまた読書に没頭し始めた。

 

「ほんとに本読んでるんだね」

小声で青年藤間が声をかけてきた。

「話すと追い出されるわよ」

きつめに彰子は言うとまた本を読みだした。

「いいよ。追い出されても。俺君に興味があるから外で話してもかまわないから」

新手のナンパか? 彰子はあきれながらその言葉を聞き流した。

「ねぇ。彰子さん。外出ようよ」

「どうして名前知ってるのよ」

大声になりそうな口を押えて彰子は言う。

そこえちょうど司書がやってきた。

「お話なら外でしてください」

マニュアル通りの言葉に彰子は苦笑しながら椅子から立ち上がった。

「行きましょ。本は借りるから」

「え? いいの?」

「仕方ないじゃない。ここにいたらつまみ出されるわよ」

彰子は言うだけ言ってさっさと貸出コーナーへ向かった。

図書館を出て開口一番に彰子は尋ねた。

「でどうして私の名前知ってるのよ」

「調べたから。っていうのはうそでこのカード落としたでしょ?」

差し出されたのは図書カード。さっきの図書カードは改めて発行された新しいものだった。

「この写真に一目ぼれしちゃったんだよ」

「冗談も休み休みに言ったら?」

あくまでも彰子は冷たい。

「冷たいなー」

「冷たくて結構。ナンパはお断りよ」

「ナンパじゃなくて一目ぼれ」

「どっちも一緒じゃない」

「これから学食のデザート食べに行かない?」

藤間はあきらめない。

「一人で行けば?」

「ええー」

明らかにわざと藤間は言葉を発した。

回りの人間が一斉に二人を見る。

「わかったわ。人身御供にされるのはまっぴらごめんよ」

「みんな俺の大声に反応しただけだけど・・・」

「どっちもいっしょでしょ。行くの? 行かないの?」

 

「行きます行きます」

 

犬が尻尾を振ってるかのごとく藤間は上機嫌で答える。

彰子はあきれながら学食へ向かった。

「あなた甘いもの好きなの?」

学食でパフェをたべる藤間を見てやや驚きながら彰子は聞く。彰子もメニューは違うがパフェを食べている。

「悪い?」

逆に問い返されて彰子はどきりとする。

「別に男女差別したわけじゃないわ。意外だったから」

確かに藤間は背も高く顔もそこそこよく彰子以外ならほいほい女の子がついていきそうな風貌である。

それが抹茶パフェを口に頬張りながらうれしそうに食べているのを見ると変わり者かという不安がもたげる。

彰子は普通の恋人はほしいが変態はいらない。甘いものだけで判断するわけにはいかないが体をたたけばほこりがかなり出てきそうだ。調べる価値はありそうだ。打算めいたものを考えながら彰子は藤間をみていた。

「彰子さん。バニラが溶ける」

藤間を観察している間に彰子のパフェは崩れそうになっていた。あわててぱくつく。

「彰子さんだって甘いもの好きじゃない。俺が好きでも関係ないでしょ」

いや、おおいにあると彰子はパフェを食べながら思う。

甘いもの好きののんべえかもしれないし、ナルシストかもしれないしいろいろ疑惑はありそうだからだ。初対面の割にひとなつっこすぎる。

「でさー」

藤間の声ではっとして彰子は藤間をみる。

「文芸サークル入らない?」

「ただの勧誘?」

「いや。本好きそうだからいいかなぁと思って。それに多く一緒にいられるし」

「ナンパか勧誘かどっちかにして」

頭が痛くなってくる、どういう神経してるのか。

「俺はたまたま図書館前でカード拾って彰子さんに一目ぼれしただけ」

そのひとめぼれが信用できないのよ。心の中で彰子はつぶやく。

「二兎を追うものは一頭も得ずっていう言葉しらない?」

「まぁ。そうだけど」

そこまで話してちょうど講義のチャイムが鳴った」

「ごめん。私今日英会話あたってるのよ。これ私のお勘定。よろしくね」

「行っちゃうの〜?」

情けない声にすべりそうになりながら彰子は一瞬動きを止めた。

「はいはい。また図書館でね。と君の名前は?」

「藤間、有栖川藤間だよ」

「じゃ藤間またね」

いつしか逢引のような約束をして彰子はさっさと出て行ってしまった。

「あらら。速攻か。また今度に期待しよう」

 

立ち直りの早い藤間はまたパフェに集中することにした。

 

これから自分たちはどうなるのか。名前を聞かれただけでうれしい。

 

少なくと嫌悪されずにすんだのが幸いかもしれない。

 

次回は絶対イエスといわせるぞ。パフェと格闘しながら藤間は思った。

 

一枚のカードはどこまで春を運んでくるのか。

 

偶然は必然に変わるのか。

 

幸先いい予感が藤間には心地よかった。

 

またキミに会えるその時まで待っていよう。春はすぐそこまで来ている。

| comments(0) | - | 20:12 | category: 好きシリーズ |
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