Alice in the sky 〜躁鬱と創作と時々朱印〜

日月水でやってきましたがなかなか更新できず今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。長年統合失調症と思ってましたが今日躁鬱病と訂正入りました。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。
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# 天舞天龍天上界編 終幕

 

天舞天龍天上界編

 

 終幕

 

「にしても何だったんだ」

 涼は事務所のテーブルにつっぷしながらつぶやく。

「何が?」

 相手役は美希である。晴美と香は仕事に悩殺されて無視である。

「俺たち五百年前あんな目に合わせて転生してもまた苦しめて、けがはさせられて、仲間殺されて、なのに最後はワンコ一匹とたわしで終わり。そりゃ天使に生まれ変わったけどあいつはあいつのしたこと覚えてねーんだろ。くたびれもうけの骨折り損だぜ」

「そんなこと言っても仕方ないよ。私もね。自分の身勝手さに自己嫌悪したよ。さすがに」

「美希は悪くねー。悪いのは妖魔だ。妖魔が・・・」

「そんなこと言ってるとまた妖魔が生まれるわよ。はい。全入れコーヒー。美希ちゃんはロイヤルミルクティーね。あとはんー」

と所長質を振り返る。

「あとでいいや」

 がく、と肩を落とす涼。いつの間に権威は失墜したのであろうか。

晴美の大物ぶりが怖い二人である。

「確かにしてきたことは悪いよ。でもよくあるじゃん。自分が不幸だからみんな不幸になれーっていうの。ああいうのがいっぱい集まっただけよ。だから冥府の空間に落ちたんじゃない? あそこ負の磁場だから。人間界、天界と追い出されていくとこ見失ったんだね」

 思案気に晴美は外を仰ぎ見る。

「元気に育ってくれたらいいけど」

冥府に残してきたハルが気になる。美希が驚く。

「って晴ねぇ。そこまで読み切っていたの?」

「ん。たわしが掌に転がった時に何かひっかかったのね。なんだかわからないものが。帰ってお風呂入ってたらわかった」

「お風呂って・・・」

「やーだ。涼ったら何想像してるのよ。セクハラで訴えるよ」

「何がセクハラだ?」

自らお茶の催促に来た朱里に涼は隠し通す。

「な・・・なんでもないです。おい。おハル。裁判になったらどうなる」

「そりゃないわよ。そんな真に受けないって」

「言えるか。本当に御嬢さんくださいっていうぐらいだぞ」

「そ・・・そうか」

裁判になったらあっという間に加瀬コーポレーションがつぶれると思った晴美は朱里と涼たちの隔離に入った。

「朱里離しておくからあんたたちはもう帰って受験勉強にはげみなさい」

「はーい」

「ほーい」

 若きカップルが仲良く帰る姿に一瞬の憧れを持つ晴美である。

「晴美どうした」

晴美の動向に敏感になった朱里が問う。

「いえ・・・なんでも」

手をつないでとおねだりしてつなぐ相手でないことは確かだ。あきらめ顔でいると手をつかまれる。

「え・・・。所長・・・どこへ」

「どこへでもだ。レイあとは頼む」

「はい〜」

めっきり春になったレイの間延びした声と香の手のひらふりふりに見送られて晴美はまた連行されるのであった。

「またこの草原」

一度悪戯されたあと連れてこられた場所。朱里の元から飛び出て行きついたのもこの場所。そして今もこの草原に立っている。時間がたってもここの風景は変わらない。

「きれいだな」

「うん」

「涼に何を言われた?」

「ん。俺達の苦しみは何だったんだと嘆いていただけ。ハルの気持ちを伝えただけだよ」

「そうか」

風にそよぐ草原は何を言っても知らぬ存ぜぬだ。

「なぁ。晴美」

「何?」

「結婚しよう」

ぶっ。お茶を飲んでいたら絶対噴出している。

「涼の御嬢さんくださいはまだだって」

「そうじゃない。今すぐ結婚したい。レイと香は準備始めているぞ」

「そうなの?」

意外と早く学生結婚をするのかと思う晴美である。

「でも女の一生一代のイベントよ。紙三枚でするほどジミ婚派じゃないわよ」

「そうなのか? ナーガと愛は紙一枚で結婚したぞ」

あの緑髪め。変なことを教えてくれたわね。怒りを覚えつつ静かに言う。

「とにかくウェディングドレス着られるまでは結婚しません。同棲もしません。なんなら家に来る?」

さすがにそこまでは考えていないようだ。涼の美希の家族との付き合いを見せつけられているとさすがに晴美の両親と過ごすのは朱里にはまだ難題だった。方策は猫を被るしかない。

心なしか残念がっている朱里に晴美は背伸びして頬にキスをする。

「結婚しなくても朱里の事しか見てないから安心して。じぃじとばぁばになるんでしょ」

「そうだったな。私としたことが。結婚したら鏡を見る時間が減る」

がく、とうなだれる晴美である。

「そこに行きつくのね〜」

「なんだ」

「いい。今頃香さんたちレイさんとオフィスラブかな?」

「涼の言葉を使うな」

「なんだっていいでしょ」

「まぁ。いざとなったら副所長室に隠れてやってるさ」

「なんかセクハラ発言―」

「さっきからセクハラとうるさいな」

「男はみーんなこうだから困るのよ。キアラ出てきて〜。女子会しよ〜」

その言葉にびくっとする朱里である。

「キアラの名を呼ぶな。何が起きても知らないぞ」

「起こらない。起こらない」

言いながら名前を呼ばれた気がして晴美は振り返った。

「なんだ!」

敏感に朱里が反応する。

「誰かに呼ばれたような・・・」

「呼ばれていない。呼ばれて・・・。帰るぞ。サービス残業はつけんからな」

「えー。ブラック企業で通報しようかなー」

「なんでもしろ。キアラたちだけは呼ばせない。大事になる。なる前に連行させてもらう」

晴美をお姫様抱っこすると晴美の抗議の声もむなしく事務所まで連れて行かれたのだった。

ああ。また乙女の恥じらいが落ちていく。

恥ずかしすぎてレイにも香にも合わせる顔がない。朱里の肩に顔を突っ伏しながら所長室へ連れて行かれたのだった。

 若いカップルたち今日も忙しいのであった。

 

| comments(0) | - | 00:49 | category: 改訂版天舞天龍 |
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