Alice in the sky 〜躁鬱と創作と時々朱印〜

日月水でやってきましたがなかなか更新できず今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。長年統合失調症と思ってましたが今日躁鬱病と訂正入りました。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。
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# ヘブン・ロード〜ブルーローズ2〜 最終話 ヘブン・ロード後編

 

 

 

二人はちらちらして今にも電気が落ちてしまうような街を走りぬいて学園にたどり着いた。学園でも混乱は続いていた。

「セアラ!」

 ルリが一目散にやってくる。

「これからAI室に行ってくるわ。キャリーが必要らしいの」

「私にできることはない?」

「教官たちに続いて避難を始めるんだ。それで十分だ。セアラは俺が守る」

 ルークがルリに宣言するとルリはうなずいてきびすを返して中に入っていった。

 セアラとルークはがたがたゆれる建物中を走った。ルークのリードにしたがって学園内をひた走る。ある一室の前に来るとルークは自分の身分証明書をカードリーダーにスライドさせた。ドアが開く。

“ジャマハサセナイ”

 堅苦しい音が鳴り響いた。

「これがアリシア?」

「気にするな。キャリーをこちらにつなぐんだ」

「キャリーを? ここに?」

 セアラはいぶかしげな表情を作るもしかたなしに端末をつなげた。

「できるなら壊れかかっているプログラムを復旧してくれ。セアラならできるだろう?」

「復旧? そんな大事なことを私が・・・」

「セアラ。君しかいないんだ。次期アリシアのAIキャリーの責任者は」

「次期AIって」

「セアラ。頼む」

 ルークは必死になって頼む。しかたなしにセアラは硬い表情でうなずくとプログラミングを始めた。

 キャリーのパネルにプログラムがスクロールしていく。老朽化しているアリシアのプログラムの一部をキャリーに移し替えていく。

「ルーク。これ以上は無理よ。キャリーが壊れてしまう」

 キャリーの容量がいっぱいになってセアラは悲壮な声を上げた。

「大丈夫だ。外付けのハードを持っている」

 どうしてもっているのか聞きたかったが、まずはキャリーに負担をかけないようにするのが一番だ。セアラはその機器をうけとるとまたキャリーに付けて作業をはじめた。

 何時間たっただろう。セカンドムーンアリシアが急に悲鳴を上げた。

“コロサナイデ!”

「違う。アリシア。君はもう休んでいいといっているんだ。もう疲れただろう。今度はこのキャリーがセカンドムーンを管理していく。体を休めるんだ」

 ルークの静かで確かな声にアリシアはカメラを向けて注目した。

“ルーク・バーグ・・・。ワタシニヤスメトメイレイスルノカ?”

「ちがう。もうアリシアは何年もたった。いや何百年と。もう疲れた体を休める時期なんだよ。もう天気やいろいろなことに煩わされる必要はないんだ。おやすみアリシア。大丈夫だ。次の子は確実に成長した。君の後は安心できるよ」

“アンシン・・・”

 アリシアの声が悲しそうにセアラには聞こえた。

「私たちはあなたの、アリシアのことは忘れないわ。だから今は静かに眠って・・・」

“セアラ・ステュアート・・・。アナタニナラマカセヨウ。オヤスミ。レディ・セアラ”

 セアラは泣いていた。ひとつの命が終わるのだ。コールのことを想い出していた。命の終わりは悲しい。どんなときでも。

「セアラ・・・」

 ルークが肩を抱き寄せる。

「さぁ。もう少し作業が残っているわ」

 セアラは涙をぬぐうとまた作業を始めた。

 

 セカンドムーン、責任者。セアラ・ステュアート。

 これが今のセアラの称号だ。キャリーとアリシアを交換してセアラは必然的に最高責任者となってしまった。ルークともあれ以来なかなか顔を合わせる機会がなかった。あるとしても会議や何かで私的な話は一向にできなかった。

 毎日疲れて帰ってくるセアラをルリは優しく迎えた。キャリーにはアリシアの容量ほどのスペースはない。そのキャリーのAIを新しい機械に入れる作業が続いていた。セアラは毎日といっていいほどキャリーのプログラミングに追われていた。

「ルーク教官とは会っているの?」

 ううん、と言葉少なげにセアラは答える。

「なぜ? どうして。会える時間はあるでしょう?」

「そんな暇ないわ。ずっとキャリーを動かしているんだから」

「それは言い訳じゃない? ルーク教官より身分が上になったから気になっているんでしょう? セアラは特に身分にこだわるから」

 どんぴしゃ、だった。いきなり最高責任者にまわされてセアラは動揺していた。伯爵の姪というだけでも面倒だというのにルークはいまや部下なのだ。学園長さえ部下になる。

「ルリに何がわかるのよ!」

 セアラはクッションをルリに投げつけた。ぽむ、と柔らかな衝撃音がしたかと思うとすぐクッションが帰ってきた。セアラの顔面に当たる。

「ルリのいけず」

「セアラのばか」

 二人はふらふらになるまでクッションを投げ合った。そこへケイティたちが入ってきた。

「ルリ。セアラ。何しているの?!」

 ケイティがルリを抑え、サイガがセアラを抑えた。

「あなたたちに私の気持ちがわかるもんですか!」

 涙でぐちゃぐちゃになった顔を見せてセアラは叫んだ。

「わからないわよ」

 そこへ冷静な声が割って入った。

「モトコ・・・」

 セアラは驚きの顔でモトコの顔をみた。

「12歳のお子様な私には大人の世界はわからないわ。でもね、好きなら好きっていえばいいじゃないの。身分なんて関係ないわ。だから私はここに来れたのよ。規定があれば私はここにこれなかった。身分なんて暗黙の了解を作ったのはセアラ、あなたよ。いつだってそうだった。自分は伯爵の姪だとか有名艦長の知り合いだとかそんな間柄に自分を縛り付けていたのはあなたよ。わかったらさっさとルーク教官のところへ行きなさい!」

 そう言ってモトコはタオルをセアラの顔面に投げつけた。

 セアラははじめ呆然と聞いていたが次第に表情が整ってきた。飛んできたタオルをもって洗面所へ向う。

「モトコ。あんたいい奴じゃないのー」

 ルリはモトコに抱きついていた。

 

「モトコありがとう。行ってくるわ」

 セアラはそういうと部屋を飛び出ていった。

「って私たちの努力は何?」

“ルリ、落ち着いて”

 ルリのAIが話す。

「落ち着いてますってば」

 ルリの不満そうな声を聞いて周りのものはどっと笑ったのだった。

 

 走って走って、セアラは教官室へ向った。ドアをスライドさせて息を切らせながらもルークを目でさがした。

「ルーク・・・教官! お話があります!!」

 セアラは叫ぶようにルークを呼んだ。

「どうしたステュアート」

 ルークは気まずそうな顔でセアラに近づいてきた。

「教官は・・・ルークはあたくしのこと嫌いですか? あたくしは言い忘れていることがあります。あたくしはレディ・スーザンの姪、レディ・セアラ。そしてあなたを愛しているセアラです。私はずっとあなたに好きだともなんだとも言わなかった。だからここでいいます。愛しています。ルーク」

 セアラの瞳には涙がうっすらと浮かんでいた。ルークはそれを見たとたんセアラの元へ飛んでいく。愛する女性を泣かせるなど男の所業ではない。

「セアラ!」

 ルークはセアラを抱きしめる。

「俺も愛している。ただ怖かった。上司になったお前が遠くに行ったようで・・・」

「私はここにいるわ。ルーク。考えてよ。責任者になったってずっとルークが先生をできるところでずっと仕事ができるってことよ。私たちずっといられるのよ」

 涙で鼻をぐすぐす言わせながらセアラは言う。そうだな、とルークは言ってセアラをぎゅっと抱きしめる。

「悪かった。ひとりにして。これからは二人でセカンドムーンを守っていこう。結婚してくれ。セアラ。君なしでは俺は生きていけない・・・」

 思いもかけない言葉にセアラは我に返った。

「ルーク・・・」

 また涙がこみ上げてくる。

「泣く前に答えをくれ。涙ぐらいならいくらでもうけとめてやるから」

「はい」

 セアラは涙を流しながら答えた。

 

 結婚協奏曲が鳴る。セアラは父、アベルに手をとってもらいながらバージンロードを歩く。その視線の先にはルークがいる。セカンドムーンの教会でセアラはルークの妻となることとなった。前列にはスーザン伯母が座っている。そのスーザンが発見した不可能を可能にするといわれているブルーローズがセアラの胸元で光っていた。

 これからいかなるときもルークのそばにいる。そしてあの死んでしまったコールのような人々を救う道を歩き始める。天国への道を断つために。ヘブン・ロード。それはセアラの一生をかけた道である。第二のコールを出さないために。そして病めるときもいかなるときもルークの妻でいるために・・・。

 ブルーローズはそんなセアラとルークを優しく見守っていた。

 

 ヘブン・ロード 完

 

| comments(0) | - | 21:10 | category: ブルーローズ |
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