Alice in the sky 〜心の病と創作とたわいのない話〜

今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。申請で診断してもらったら否定型精神病とかかれてました。よく変わる。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。スマホで書く日が増えるかも。
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FullMoonに連れて行って 第四話太陽の国そして・・・。

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの

歩きに歩いてまるで足が棒になるほど歩いてやっとフェリアナたちは月の神殿についた。太陽の者と出会わなかったのは喜ばしいことであったが嫌な予感がフェリアナたちについて回っていた。その予感は当たった。月の神殿を後ろにして立つルールがいた。

そしてそれにつらなる太陽の神殿側の人間。一気にフェリアナは理解した。ルールは裏切っていたのだと。最初からこのつもりで途中で別れたのだ。心だけを操っておいて。

「どういうことなの。ルール。いえ太陽側の人間さん。その服装はラーのものだもの」

「よくわかっていらっしゃる。ルールはもういない。あなたたちを優しく導いたものはもういない。我はラー=ディン、太陽神の最高神官にして太陽の国の王だ。一戦交えようではないですか。フェリアナ。あなたの腕は国随一と見た。一度手合せしたかったのだよ」

「手合せ? 殺し合いの間違いじゃないの? そんな剣は持ち合わせていないわ!!」

「ただの臆病さんですか? いまさら。血を見るのが怖いのでしょう。いつまでもそのユニコーンの後ろに隠れていればいい。もっとも月の女神を呼び出すならユニコーンの舞は必定。最後の薬を飲まないといけない。フェリアナどうせならこの太陽の国に来ぬか。何不自由なく暮らせるぞ」

「月の女神を葬って太陽の神を復活させるつもり?」

「ご名答。我らはこの欠けた月を太陽にする。そして虐げられてきた国を復興する。どうだ。魅力的な話だろう」

おだやかに話しながらラー=ディンはすらりと剣を抜いた。そして一歩前へ進む。フェリアナは一歩後退する。その繰り返しだ。カミュが間に入ろうとすると矢がカミュの腕をいった。

「カミュ!!」

いつまでもこうしていてはらちが明かない。フェリアナは光の剣をぬいた。しっかりと持ち直す。

「それでこそ私の姫だ」

「私は私。誰のものでもないわ。フェリアナよ!!」

だっとフェリアナは切り込んでいく。ラー=ディンはすいすいかわす。

「まだ人を斬ったことの無い姫が私を斬れるか?」

小ばかにしたような言葉にフェリアナは斬ると断言する。

空気が動いた。バサッ!と音がしたかと思うとラー=ディンの服の一片がひらりと落ちた。

「やるな」

「当然よ。母さんから毎日鍛錬を受けていたんだもの。死神一族の誇りであなたを斬る!」

フェリアナは軽い動きで懐にひょいっと入るとラー=ディンに切りつけた。血があふれる。がくり、とラー=ディンが崩れ折る。そのままフェリアナは男を抱えた。

「なぜ急所を外した」

息絶え絶えにラー=ディンは言う。

「殺したくなかったからよ。母は魔物を殺すことでさえためらった。私も安らぎの宝玉を持っていればこんなことにならなかったのに・・・」

フェリアナの瞳から涙がぽろっとこぼれた。ぽろぽろ流れる涙を血にまみれた手でラー=ディンがぬぐう。

「本当にそなたは純粋なのだな。ユニコーンが仕えるほどに」

「フェリアナ。どうかその方と一緒に・・・」

見守っていたカミュが悲しげに微笑むと薬の瓶をあけた。

「だめ!!」

フェリアナは反射的にカミュの手から薬の瓶を払いのけた。薬がこぼれる。

「なぜ? フェリアナ。月の女神に出てきてもらわないと現状は変わりませんよ。ルールですらこの神殿の波長から英気がうしなわれていってます。早くせねばルールの命が・・・」

「あなたの中ではいつまでもルールなのね。でも私は違う。彼と殺しあった。私にはもうカミュしかいないの。もう。だから死なないで!!」

フェリアナ・・・とカミュが絶句する。

「半妖の私でも必要としてくれるのですか?:

「もちろんよ。あなたがいなければ今の私はいない。あなたが守ってくれたから。優しくしてくれたから強くなれる。多分これからもずっと」

「フェリアナ!」

カミュはラー=ディンからフェリアナを取り上げるときつく抱きしめた。骨が折れると思うほどに。カミュはいつしかフェリアナを愛していた。だが仕えるべき相手に持ってはいけない感情。ルールに託して死ぬつもりだった。自分も甘いとカミュは思う。大事な人をとられるぐらいなら死んだ方がましと。

「そこまで!」

鋭い女性の声が響いだ。神殿の奥からである。すぐに女性は出てきた。女神である。シルバーの装飾品を首にかけている。その胸元には月の象徴ムーンストーンがあった。月の女神ルーである。

「太陽のものよ。聞きなさい。この四人の力によってひとつは満月に満ちひとつは太陽に満ち溢れるでしょう。何人たりともこの四人を穢してはなりません」

「私たちの力?」

不思議そうにアミルが繰り返す。

「この少女の光、仕える者の闇。そしてもう一組の実と虚の組み合わせこれで世界は回り始めます。さぁ。あなたたちもこれから好きなところに行くことができます。望みの場所を思い浮かべなさい」

「って言われても冒険に行くって言って出てきたわけだし行くあても・・・」

とフェリアナ。

「一度里帰りしましょう。カオスの存在も気になりますし」

とカミュ。

「そうね。私たちは一度もといた世界に一度帰ります。ちょうど婚約者も見つかったことだし。成人の儀受けてもらわないとね」

「婚約者?」

カミュがきょとんとする。

「あなたよ。あなた。カミュ」

「え? 私は仕える者であって対等な立場・・・」

ではないという言葉をフェリアナはわざとさえぎった。

「で実と虚って誰?」

「私たちでしょう」

ハミルがはかなげな表情をする。

「アミル。もうお別れだよ」

優しく言うハミルにアミルは抱きつく。

「いやだハミル。兄さんいかないで」

「私は君が作り出した亡くなったお兄さんの姿をとっているだけだよ。もう祖国へお帰り。カオスに長くいすぎて定着化させてしまったんだね。もう終わりだよ。愛するアミル。フェリアナ、カミュ。アミルをよろしく頼む」

そういうと泣きじゃくるアミルののうでのなかからすっと消えていく。輪郭線もいつしかなくなってただアミルが空気を抱いて泣いていた。

「満月の明かりを!」

女神の声で月に力が満ちる。フェリアナは優しくアミルの背中を抱きしめる。アミルの泣き声が次第に小さくなっていく。

「さぁ。帰りましょう。私たちの世界へ」

カミュの優しい言葉とともに光が降りてくる。三人となったフェリアナたちは月と太陽の神話から消えて行った。

気が付けばそこは死神一族の集落の入り口だった。

「ハミル」

まだアミルは静かに泣いていた。

「アミル家は?」

ぐすっと鼻をすすってアミルが答える。

「そんなもの一千年も前になくなったわよ」

「そうなのですか!?」

カミュが驚きを隠せず声を上げた。

「しばらくここにいるといいわ。イケメンはいないけど。カミュは私のだからね!!」

フェリアナは照れを隠すようにアミルの手をとるとどんどん歩いていく。

「母さん。父さん。ただいま!!」

ほんの少したくましくなった少女は居候を連れて走る。アミルも走る。もう泣いてなかった。この二人で旅をすればもっと面白いかもしれない。そんなことをつらつらと考えながらついていくとフェリアナの大きな声がカミュにかかった。

「カミュ!! ゆっくりしているとくいっぱぐれるわよ!!」

「はいはい。今行きます」

青年と少女たちの旅はまだ始まったばかりである。

銀のしずく 金のかがやき7 | comments(0) | -