Alice in the sky 〜躁鬱と創作と時々朱印〜

日月水でやってきましたがなかなか更新できず今後不定期となります。申し訳ありませんがよろしくおねがいします。長年統合失調症と思ってましたが今日躁鬱病と訂正入りました。改めて心の病持ちでよろしくお願いします。
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# アイラの物語第三部完 最終話 新女王

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの

 

女王は慈愛に満ちた目でエドウィンを見つめた。手にはなにか小さな箱がある。

「エドウィンこちらへ」

エドウィンはいつものように近づくと膝づいた。

「もうそれはいいのですよ。もうすぐ引き継ぎの儀式が行われます。私たちは普通の姉弟になるのです」

そういって女王はエドウィンの手を取って立たせた。そして一族に伝わるという指輪が入っている小箱を手渡した。

「早くあの子にはめてあげなさい」

エドウィンは感謝の視線を女王にむけると後ろの方でぼーっとつったっているアイラの元へいってまた膝づいた。

いきなりことが始まりアイラはエドウィンがおどけているのかと笑いたくなったがエドウィンに真剣に見つめられアイラは緊張が高まってくるのを感じた。

「わが女王。これを受け取ってください。私の愛の証です」

箱から取り出した指輪の石はまるで真珠のようでしかし明りにあてると七色に色を変える不思議な石だった。

「エド・・・。これって」

アイラは涙ぐむ。

「そう。婚約指輪だ。俺の一生の女王に送る指輪だ。お前が女王を選択しなくてもこれはお前のものだ」

そっとアイラは左手を差し出す。その左手の薬指にエドウィンがそっと指輪をとおす。まるであつらえたかのようにアイラの手になじんだ。

「ありがとう」

浮かんだ涙をエドウィンがそっとぬぐう。そこへいつの間にか来ていた女王の声がかかった。

「アイラ、エドウィン。話があります」

「ママ」

「姉上?」

エドウィンとアイラは不思議そうに女王を見た。

「引き継ぎの儀式を行うとは言いましたがまだ選択の余地があります。今なら間に合います。アイラ、人として生きる道を選択しないのですか? お父様やお母様の死を見送ることになりますよ。ずっとこの隔離された森でひっそりと生きていくのです。それでもこの道を選びますか?」

アイラは女王の真剣なまなざしに圧倒された。しかししっかりと自分の声で答えた。

「この道を選びます。エドが人間になる方法を見たということも知っています。産みのママも私に会うのをいつも楽しみにしてくれます。でも一番心配なのはママ。このまま疲れ果てて眠るよりすこしでも私やエドやみんなでママを長生きしてもらって静かに天寿を全うしてくれることを望みます」

アイラにはいつしか次期女王としての自覚ができていた。迷うことなく妖精の道を選んだ。人の身で妖精を束ねるのは難しいかもしれない。判断を誤ってしまうかもしれない。そしてエドがいる。この人がいるところに自分がいるところだとアイラは思っていた。

「そうですか」

女王はまた王座に座った。ウェンが手を二回たたく。一斉に外から妖精たちがやってきた。

「これから妖精の女王の引き継ぎの儀式を行う。異義のあるものは前へ」

一定の位置から妖精たちは一歩も前に出なかった。

「では。アイラ前へ」

アイラはそっと謁見の間を歩く。王座の女王の前につくとエドウィンと同じようにひざまづく。

女王が手を取る。一気にアイラの頭の中に膨大な知識が書き写されている。まるですぐに魔法が使えるかのように。教科書も勉強もいらない知識がどんどんアイラの中に入っていく。しばらくするとその洪水はやんでいた。静かな時間が流れる。

知識は来たが何をしたらよいのかもわからず戸惑うアイラに女王は微笑む。

「必要な時に必要な力でてきます。あなたの純粋な心に反応して。決して今の心を忘れないで。愛しい子」

小さくママといってアイラは涙を流した。ほっとしたのか緊張したのかわからない涙だった。

女王の顔は今にも倒れそうで青白い。エドウィンがよろめく女王を支える。

「姉上」

「大丈夫です。あなたたちの光ですぐに元に戻ります」

「俺たちの?」

不思議そうにアイラとエドウィンは顔を見合す。

「ドレスを用意できなかったのは残念だけど今はこの婚儀の儀でがまんしてください。引き続き婚儀の儀を執り行います」

「異議のあるものは前へ」

ウェンがまた言うが誰も動かなかった。

女王は二人の手を取らせて立たせると二人の前にたった。ウェンがきらきらしたサークルを二つもってきた。大き目なものと小さめのものを。

女王はすぐに言葉を発した。

「エドウィン。あなたはアイラをやめる時も健やかなる時も慈しみ愛することを誓いますか?」

唐突な言葉だったがエドウィンは誓いますとしっかりと答えた。そして重ねられたアイラの手をぎゅっと握りしめる。

「アイラ。あなたはエドウィンをやめる時も健やかなる時も慈しみ愛することを誓いますか?」

「はい。誓います」

胸がいっぱいのアイラはそれしか言えなかった。どれだけエドウィンを愛しているかつたえようにも気持ちがあふれすぎてとても言葉にできなかった。

「では冠を」

女王は大きめのものをエドウィンに小さめのものをアイラの頭上に飾った。

「これで二人は夫婦となりました。祝福の虹がいつも頭上で輝いていますように」

そう女王が言うと謁見の間を埋め尽くさんばかりに虹色の光が満ち溢れた。

「すべての妖精の祝福の光です。欠けた私の力も少し補われました。アイラあなたが心配するようなことはまだまだ先ですよ」

女王がいつもの優しい笑みを浮かべるとアイラは感動で胸いっぱいになった。女王はエドウィンに言う。

「この子を頼みます」

「もちろんです。天地神明にかけてアイラを守り通します」

エドウィンがいうやいなやほかの妖精たちがなだれこんできた。謁見の間は様々な妖精であふれかえった。

「おめでとう。新女王様」

「おめでとう。王様」

おめでとう。おめでとう。

妖精の森にいるすべての妖精が二人に祝福の言葉をかける。あまりにも言われすぎていつしか照れてしまう二人だ。

そこへウェンがいつもながらのポーカーフェイスで言葉をかける。

「大広間にパーティの用意が整いました。皆様そちらへ」

ウェンの顔がなんとなく笑顔なのがなんだかアイラは印象的だった。

「二人のためのパーティです。存分に楽しみなさい。私も一緒に行きますから」

その言葉にエドウィンはほっとする。いきなり一人で私室にいるなどいいかねなかった体だが重役から降りた解放感で女王も気が安らかなようだった。これから姉と弟の溝を埋めていけばいい。

アイラはエドウィンの悩みを知ってか知らずか料理に興味を持ってはしゃいでる。

「わーい。おいしいものが食べられる」

るんるんと鼻歌を歌っているアイラを見て道を誤ったかと思うエドウィン。これが先ほど神々しいまでの婚儀の儀式を行った女性か?

後悔の念がでそうになったとき女王がそっとだめですよと声をかけた。

「あの子に色気を求めてはいけないですよ」

女王も察していたらしい。苦労するなとエドウィンはため息をついた。

「ママ。エド。早くいこうよ」

はいはいと女王はアイラと進み始め後ろからエドウィンがついていく。いつもとかわんないじゃねーか。婚儀の儀の意味あるのか?

一人心の中で突っ込んでいたエドウィンだった。

アイラの物語はやっとおちついた。だが選んだ道なりの物語がまた始まる。

今度はエドウィンとアイラの物語である。二人で紡ぐ物語はどうであろうか。

それは二人だけが知っている。

 

アイラの物語完

| comments(0) | - | 16:53 | category: アイラの物語 |
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